ヴェロニク・ジュマール
光の気配(仮)

2026年2月13日(金)― 4月5日(日)

 JP  | EN 

ヴェロニク・ジュマール

プレスリリース

会場マップ


ヴェロニク・ジュマール 光の気配(仮)

会 期|2026年2月13日(金)-4月5日(日) *2月13日(金)のみ14:00 ‒ 19:00
会 場|MOMENT Contemporary Art Center
時 間|11:00 ‒ 19:00
定休日|月火
主 催|MUZ ART PRODUCE
特別協力|一般財団法人森記念製造技術研究財団
入場料|無料

オープニングレセプション|2月13日(金)14:00 ‒ 19:00

MOMENT Contemporary Art Centerでは、2026年2月13日(金)から4月5日(日)まで、フランス出身の作家、ヴェロニク・ジュマールによる個展「光の気配(仮)」を開催いたします。

1964年グルノーブル生まれ、パリ在住のジュマールは、1980年代半ばより活動をはじめ、光そのものを素材とし、その仕組みやエネルギーの流れを可視化する作品を制作してきました。近年では、フランス・バイユーの Cathédrale Notre-Dame de Bayeux における現代ステンドグラス制作プロジェクトや、トゥールーズ地下鉄3号線「Ligne C du métro de Toulouse」のパブリック・コミッション、高松空港での瀬戸内国際芸術祭《Welcome / Funny Blue》など、公共空間を舞台としたプロジェクトにも精力的に取り組んでいます。

関西では芦屋市立美術博物館での個展以来、約30年ぶりとなる本格的な個展となる本展は、「窓」をモチーフに、写真および新作のインスタレーション作品で構成されます。夜のビルの窓から漏れる光を撮影した大判のシリーズ作品のほか、通り沿いに面したMOMENTの大きなガラス面をひとつの窓と捉えたカーテンによる新作インスタレーション、そして現在進行中のバイユー大聖堂のステンドグラス計画に関連するイメージなどを展示します。

なおジュマールは、本展開催に合わせて1月末から3月上旬にかけて滞在制作を行う予定です。詳細はMOMENTのHP、SNSで追ってお知らせいたします。




象徴から現象へ──見えない光を経験する

美術において光は、宗教の精神性や空間を構成する手段として伝統的に重要な役割を担ってきました。宗教画における後光や天上からの光は神の臨在や救済の暗示として描かれ、その教義は教会のステンドグラスから差し込む光を通して体験されてきました。また光は画面上に明暗として取り入れられることで、鑑賞者の目を対象へと集中させ、物語や感情を強化する効果を生み出してきました。

一方でジュマールが扱う光は、こうした補助的な手段としてではなく、いまここで起きている現象として捉えることを鑑賞者に促しています。時に電球、抵抗器、コード、コンセントといった具体的な装置が用いられる彼女の作品は、電気が流れ、眩しさや反射が生じ、空間の明るさが変化するという物理的な出来事を、装置ごと目の前に提示することに重点が置かれています。「光そのものと、その出現に必要な要素を同時に可視化したい」と語る彼女が目指すのは、光を作品やあらゆる視覚経験の出現に先立つ条件としてではなく、それ自体をひとつの作品として表すことにあります。

彼女は近年、公共空間における制作にも精力的に取り組んでいます。フランス・バイユーの Cathédrale Notre-Dame de Bayeux における現代ステンドグラス制作プロジェクト(2013年より継続中)とそのプロセスを追うドキュメンタリー映像、トゥールーズ地下鉄3号線「Ligne C du métro de Toulouse」のパブリック・コミッション、高松空港を会場とする瀬戸内国際芸術祭《Welcome / Funny Blue》(高松、日本)などは、その代表的な事例です。

「光の気配(仮)」では、このようなスタジオワークとサイトスペシフィックな制作を行ってきた彼女の実践を、「窓」というモチーフを通して再編成する試みです。ジュマールの作品によってMOMENTに新たに生まれる光と空間を、ぜひご高覧ください。




ヴェロニク・ジュマール
1964年フランス・グルノーブル生まれ、パリ在住。グルノーブル高等美術学校(École supérieured’Art de Grenoble、現ÉSAD Grenoble-Valence)を卒業。写真、彫刻、インスタレーションなど多様なメディアを横断しながら、光や電気といったエネルギーを可視化する装置を用い、空間における身体との関係を探求する作品を発表している。

近年の主な展覧会に、『Vertigo』(2025年、Fondation Carmignac、ポルクロール島)、ポンピドゥー・センター所蔵作品による『Reinventing Landscape』(2025年、West Bund Art Museum、上海)、『Pump Up, Imaginaires techniques et utopies sociales』(2024年、Le Grand Café、サン=ナゼール)、『Varnelis dans l’hexagone』(2024年、Fondation Vasarely、エクス=アン=プロヴァンス)、『Chaleur humaine』(2024年、Frac Grand Large、ダンケルク)、『Amitiés, créativités collectives』(2023年、Kunstmuseum Wolfsburg、ヴォルフスブルク)、『Avril』(2023年、BF15、リヨン)、『Paravents, table et couleurs』(2022年、Gilles Drouault galerie/multiples、パリ)などが挙げられる。

日本との関わりは、1996年に京都でフランス政府が運営するアーティスト・イン・レジデンス、ヴィラ九条山に滞在制作したことを契機に本格化した。同年には、広島市現代美術館で開催された「Hiroshima Art Document ’96」(広島)に参加。

1999―2000年に制作された 『Tsunan』 を、2000年の第1回「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(新潟・津南)で発表し、以後、同地に恒久設置されている。2002年には広島でプロジェクト『TGV』を発表、2010年代以降は瀬戸内国際芸術祭の高松空港 『Welcome & Funny Blue』、および女木島を舞台に『Café de la Plage (Yellow)』(2019年)等、複数のプロジェクトを継続的に発表している。

現在は、FRAC Normandie Caen(カーン)の企画展「In the mood…」およびコレクション展「Le Silo」(マリーヌ)に出品しているほか、2013年よりフランス・バイユー大聖堂の女性初の現代ステンドグラス制作プロジェクトと記録映像制作、2022年よりトゥールーズ地下鉄3号線『Ligne C du métro de Toulouse』のパブリック・コミッションを継続中である。

Official Website